01/26
 「新約 とある魔術の禁書目録 9 」 感想・考察

ni_c09_20140126033556ac8.jpg

大変遅くなって申し訳ありません、鎌池和馬先生著のライトノベル『新約 とある魔術の禁書目録 9』の感想&考察です。
ネタバレありなので未読の方はご注意下さい。 また、かなり長文になっておりますのでご了承を。

■全体的なまとめ■

39965611_p0_20140121124036f96.jpg

「主神の槍(グングニル)」を完成させようとしている魔神・オティヌスを止める為に、
世界各国のトップが集結し…ついに「魔術サイド連合」VS「グレムリン」の全面戦争が始まった前回!(参照)
…北欧神話の名を関する「怪物」とのバトル、木原加群(ベルシ)という男の人生、フレイヤ親子、水着回などなど、
様々なドラマがありながらも…インデックス、御坂美琴、レッサー、レイヴァニア=バードウェイ、そして上条当麻は、
ついにオティヌスが待ち受ける「船の墓場(サルガッソー)」へ辿り着く事ができました―――が、
すでに魔神・オティヌスは、オッレルス&フィアンマとの戦いを経て「100%」に達していたらしく…、
彼女は上条さんの目の前で「主神の槍」を振るい、一瞬で世界を崩壊させましたね

果たして本当に世界は崩壊したのか…それとも「幻術」で上条さんを惑わしているだけなのか…?
もう表紙のオティヌスちゃんといい、「上条当麻の心を挫く物語」という「あらすじ」といい、
嫌な予感しかしないんですけど、この新約禁書9巻は―――読者の予想を軽々と超えるストーリーを見せてくれましたね。

①オティヌス「ちまちま戦うなんて面倒臭ぇな。世界でも終わらせてやるか」

②世 界 崩 壊。

③崩壊した何もない暗黒空間で2人きりになる上条さん&オティヌス。
 どうやらオティヌスが上条さんを殺さなかったのは、
 「幻想殺し」の効果…ではなく、上条さんを殺す事で「幻想殺し」の力が
 他の何かに"移動"する事を防ぐ為だった。

④オティヌス、上条さんを「ただ幻想殺しを宿しているだけの入れ物」にする為に、
 上条当麻という少年の「心」を折ろうとする。

⑤世界改変。

⑥オティヌスが新しく作った世界とは、なんと上条さんが全世界共通の「敵」になり、
 そのせいで日本が総攻撃を受けている世紀末世界だった。(Version_Alpha.)
 上条さんは信じていた大切な人達から裏切られ、嬲り殺される…。

⑦それでも上条当麻の心は折れなかった。

⑧次にオティヌスが作った世界とは、上条さんが今までいた場所に
 まったくの別人が『上条当麻』として居座っている世界だった。(Version_Beta.)
 クラスメイトやヒロインはその違和感に気づかず、
 その『偽の上条当麻』を上条さんだと思って、平和な日常を送っていく。
 そして本物の上条さんは、それをただ見続ける事しかできない…。

⑨それでも上条当麻の心は折れなかった。

⑩こんな感じの地獄のような世界を無限にループする上条さん。(Version_…)

⑪それでも上条当麻の心は折れなかった。

⑫そしてオティヌスが作った世界とは、「幸せな世界」だった。(Version_Omega.)
 フレンダや左方のテッラなど、今までの戦いで死んだ人間はもちろん、
 シェリーの親友であるエリス、実験で死亡した1万人以上のミサカなど、
 上条さんが救えなかった人物が全て生きており、みんな笑顔で暮らしている。
 この世界には争いも存在せず、ただ幸せしか存在しない。

⑬オティヌス「お前が生きてるとこの世界は崩壊するよ、だから自殺しろ」

⑭上条さん、「10万3000冊の原典」「1年周期の記憶消去」「自動書記の首輪」など、
 呪われた運命に囚われず…幸せな日々を送っているインデックスちゃんを見る。


⑮上条当麻の心、折れる。自殺を決意する。

⑯自殺しようとする上条さんだったが、なんとミサカ10031号の体を借りた
 「ミサカネットワークの総体」が現れる。

⑰上条さん、総体に4ページまるまる使って弱音を吐き出す。

⑱上条さん、総体から優しく背中を押され、
 誰の為でもなく、自分のワガママで、自分の為だけに戦うと決意する。

⑲オティヌスと戦う上条さん。何度も何度も何度も何度も死に続ける。

⑳どうやらオティヌスは、世界を好きな色で塗り潰す事はできても、
 その色を消して「最初の世界(自分が生まれた世界)」に戻す事はできないらしい。
 だからオティヌスは、その「最初の世界」のキーである「幻想殺し」を捨てきれず、
 上条さんを殺す→蘇生を繰り返して、その心を折ろうとしていた。

㉑それでも上条さんの心は折れず、オティヌスの心が折れ始める。

㉒オティヌス、ついに上条さんを殺す決意をする。
 (自分が生まれた最初の世界を諦める)

㉓上条さん、オティヌスの「主神の槍」を破壊する事に成功するが、
 「弩」から放たれた10本の矢を受け、ついに絶命する。

㉔オティヌスが「最初の世界」を求めたのは、
 改変された世界を自分しか認識できない=世界から阻害されている
 自分を慰めてくれる「理解者」が欲しかったからだった。
 そしてオティヌスは、もしかすると「理解者」だったかもしれない
 上条さんの死体を眺めながら、葛藤する。

㉕オティヌス、「幻想殺し」と「魔神」の力を使って、
 「自分が生まれた最初の世界」ではなく、
 「上条さんが生まれ育った世界(禁書世界)」を再生する。

㉖そして上条さんは、インデックスや美琴、レッサーやバードウェイと一緒に
 「船の墓場」でオティヌスと相対しているシーンまで戻る。(新約8巻ラスト)
 混乱する上条さんだったが、何も知らない女性×4人は
 無抵抗のオティヌスに向かって自慢の一撃を叩き込んでいく。

㉗どうやらオッレルスの「妖精化」は効いていたらしく、
 オティヌスは自分の体を崩壊させながら、死ぬ事を決意する。


㉘上条さん、全世界を敵に回してオティヌスの味方になる。



1353599335944_20140122084851daa.jpg

鎌池先生はやっぱり最高だぜええええええッッッ!!!!

―――というワケで色々と予想外過ぎた「新約 とある魔術の禁書目録 9」…皆さんどうでしたか?
いやまぁ、予想外…というか、一字一句たりとも間違わず「あらすじ通り」なストーリーではあったんですけど、
まさか本当に世界が崩壊して、上条さんの心が折れる物語で、逆転も無いとは思わなかったよ…。
でも面白い!なんか毎回言ってて申し訳ないんですけど、新約で1番面白かったですよォ!
ちょっともう、鎌池先生はハイスコア連発しすぎだろ…前回の新約8巻が「新約の集大成」なら、
まさにこの新約9巻は…「とある魔術の禁書目録」という物語のターニングポイントと言える重要な話でしたね。
キャラの視点が上条さんオンリーという事もあって読みやすいのも素晴らしかったんですけど、
やっぱり1番のキモは…今までの物語を否定しかねないほどの衝撃的すぎるストーリーでしょう。
もう読んでて辛かったよ…でも読みやすくてページをめくる手が止まらないんですよ…オエエ…。

また、永遠に広がっている漆黒の世界、ラジオとペンギンの人形しかないボロボロに崩れかけた家、
まるで夕暮れのように燃え上がる世紀末世界、金色の幸福世界の公園、スカスカで何も存在しない上条さんハウス、
真夜中の校庭などなど…頭の中で想像するだけでドキドキしてしまう魅力的なフィールドが多かったですよね。
ああ…新約9巻は是非ともアニメで見たいよ…映像的な意味でも、ストーリー的な意味でも素晴らしすぎる…。

というかアレだ、今回も大まかなストーリーをサラサラっと書いていきましたけど、
この新約9巻ほど「実物を読まないと面白さが伝わらない巻」は無いと思いますよ…。
実物を読んでない人が上の①~㉘だけ見たら、まず間違いなく「なぁにこれ」って顔になると思うよ…。
というワケで、いつもの感想なら登場したキャラクターを個別考察するんですけど、
今回だけはストーリーに添って考察していこうと思います。登場するキャラクター少ないですしね。


■最果てよりも遠く Point_Unknown.(何もない暗黒の世界)■

SWScan (3)

目を開いたハズなのに真っ暗闇って怖いよね…。

いやまぁ、自分の体やオティヌスが視認できているので、たぶん不思議パワーで「暗闇」では無いんでしょうけど、
新約8巻のラストから気を失っていた上条さんが目を覚ますと―― そこは何もない漆黒の世界でしたね。
1ミクロンの凸凹も無い真っ黒な地面が地平線の向こうまで広がり、空も真っ黒なせいで、
自分がどこを向いているのか―――どちらが上で、どちらが下なのかも分からない!
そしてその異様な空間にいるのは、上条さんと、「主神の槍」を持っている魔神・オティヌスだけでした…。

…たぶんもうこの時点で上条さんは、薄っすら自分の頭の中に「最悪の可能性」を考えてしまっているんでしょうけど、
オティヌスは…ただ淡々と、心からどうでもよさそうな声色で「世界は滅んだ」と上条さんに告げましたね。
さっきまで自分達が立っていた「船の墓場」だけを滅ぼした、なんてレベルじゃない…「日本」という国に留まらず、
「地球」という小さな惑星に留まらず、「世界」という概念から全てを滅ぼした、と―――!

そのオティヌスの言葉を聞いた上条さんは、その「現実」を受け入れる事ができず…彼女との会話を打ち切ります。
こいつとは話にならない、世界崩壊なんて嘘っぱちだ、どうせ「別の場所」へ移動しただけだ、そうじゃないと困る!
…うん、もうこの時の上条さんの言動やモノローグが、本当にパニクってて読んでて辛かったんですけど、(困るって…)
上条さんはオティヌスに背を向けて…このどこまで広がっているか分からない暗黒世界を歩き始めましたね。
どこかに人がいるハズだ…インデックスや美琴、レッサーやバードウェイがいるハズだ、と…!

せやせや!新約7巻の冒頭もボックスという名の暗黒世界から始まりましたし、たぶんこの暗黒世界もパカっと開いて、
常盤台女子中学の女子更衣室へ移動するに決まってますよ!そうに決まってる!(参照)

―――が、どこまで歩いても…いや、視界全てが暗黒なので"どこまで歩いた"という指標すら無いんですけど、
とりあえず長時間ずっと歩き続けても…そこには何もなく、次第に上条さんは「自覚」してしまいました。
オティヌスの言葉は本当で、この世界にはもう誰一人として自分以外の人間が生き残っていないという事実を―――ッ!

その瞬間、上条さんは腹の中の空気を吐き出すように絶叫し、まるで赤子のように丸くなってしまいます。
うわぁ…これはキッツイわ…人間って何の刺激もない黒一色の閉鎖空間に閉じ込めると発狂するらしいんですけど、
今の上条さんはそれに加えて「世界が滅んだ」という事実もプラスされてますからね…そりゃ絶叫するわ…。

このままでは上条さんの心は折れてしまう―――が、ここで上条さんは…「とある事実」を思い出しましたね。
そう言えば魔神になれなかった男・オッレルスは、俺の右手…「幻想殺し」を「世界の基準点」だと言っていた。
そしてこの漆黒の世界には俺しかいないワケじゃない!全ての元凶であるオティヌスがいる!
オティヌスなら、「世界の基準点」である俺の右手を使って、世界を元に戻せるんじゃないか、と…!

それに気づいた上条さんは、オティヌスが立っている場所まで戻り、拳を握りながら相対します!やる気マンマンです!
―――が、そんな上条さんを見たオティヌスは、首をクイッと傾げながら、(かわいい)
なんでなんで?なんで魔神である私がお前なんかと戦わないといけないの?とハテナマークを浮かべます…。
神である私がお前なんかと戦うワケがないだろう。お前を殺すのは…お前を"折る"のは、勝手に「駒」がやってくれる。
そう言ってオティヌスは「主神の槍」を構え、上条当麻の心を折る為に世界を変えましたね。


■移ろい揺らぐ世界 Version_Alpha.(上条当麻が世界の敵になっている世界)■



そして上条さんが目を覚ますと、そこは先ほどの「漆黒の世界」ではなく…どこかの家の中でしたね。
壁が崩れかけた…いや、ほとんど崩れている家の中で、上条さんは安っぽいベッドの上に寝かされている…。
その家の中にあるのは、ボロボロの液晶テレビと、ペンギンのぬいぐるみだけだ、と…あまりにも不気味です。
また、窓の外は夜空なのに、地平線の向こうは「日の出のようなオレンジ色」なのも気味が悪いですね…。

とりあえずベッドから起き上がる上条さん…さっきの「漆黒の世界」は、ただの悪夢だったのでしょうか?
実は上条さんは「船の墓場」でオティヌスと普通に戦っていて、そこで気絶して、このベッドに運ばれたのかも…。
―――が、そんな安易な考えを踏み潰すように…近くに置いてあったテレビの電源が勝手に点いてしまいます!
自然とそのテレビを見てしまう上条さん―――が、そのテレビで放送されていた内容とは、
全世界の敵である極悪人・上条当麻を殺す為に、
全人類が協力して日本を総攻撃している
という物でしたね!
新約8巻で登場した各国のトップが、口を揃えて「上条当麻の抹殺」をテレビでフルコーラスして、
それに対して国民が拍手喝采を送る…あまりにも異常すぎる光景です!
そして上条さん1人を殺す為だけに、日本中が爆撃され、輸入もカットされて2人に1人が餓死 している、と…!
…地平線が「日の出のようなオレンジ色」に見えたのも、「爆撃」で照らされていたからだったようです…。

―――なんと魔神・オティヌスは、「主神の槍」で100%になった魔神の力を使って、
「上条当麻の『見方』を変えた世界」へ世界を変えてしまったようですね。
ヒンドゥー教の最高神の一柱であるシヴァ神が、暴風雨で風水害を与える「破壊神」でありながら、
その暴風雨で土地に水を与えて植物を育てる「豊穣神」と言われるように―――。
オティヌスは上条さんに対する世間の見方を「世界を救ったヒーロー」ではなく、
「拳1本で自分の道理を通し、世界に災いをもたらした諸悪の根源」に変えた、と…!
人間を洗脳したワケでも、上条さんの今までの行動を変えたワケでもない…ただ見方を変えた…!

…まぁオティヌスも言っているように、上条さんの今までの行動って「エゴイスト」と言っても否定できませんからね…。
根っからの悪人を拳でブン殴るのならともかく、歪んでいても「世界の平和」や「救い」を求めていた相手を、
解決策も提示せず――― ただ拳1本で納得させるパターンも少なくありませんでした。(新約7巻の恋査など)
それにロシア正教から目をつけられ、第三次世界大戦が始まったのも、少なからず上条さんに原因がありますからね…。

まぁ読者である私達は「上条さん視点」なので、上条さんに対して殺意を抱くような事は無かったんですけど、
なんの事情も知らない、ただ戦争に巻き込まれただけの人が上条さんを見たら、どう思うのか。
そして全世界の人間が、その「見方」に変わったらどうなるのか――― それがこの結果。

そのオティヌスの説明を聞いて震え上がる上条さん―――しかし世界から殺意を向けられている彼にとって、
思考する時間なんて1秒もありません…なんと上条さんが潜んでいた家に、
「ただ人がいる気配がしたから」という理由で「警察官」が火をつけましたね!
上条さんを視認したのならともかく、ただ人がいるから殺す―――なんの容赦もなく警察官が引き金を引く!
それほどこの世界は燃え上がり、狂っている…上条さんは2階の窓からダイブして警察官を奇襲しながら、
相手が怯んでいる隙を突いて必死で逃亡します!捕まったら120%間違いなく殺される!

そして上条さんは、もはや見る影も無くなった「学園都市だった場所」を走り回りますが、
そこで彼は…爆撃に巻き込まれ、気を失っている黒髪おでこ巨乳のクラスメイト・吹寄制理を見つけましたね!
酷い火傷をしている吹寄…上条さんは絶叫しながら彼女に駆け寄り、傷の手当てをしようとしますッ!
すると気がついたのか、吹寄はモゾモゾと弱々しく動き始めました…ああ、良かった、まだ息があったんや…。

―――と思いきや、吹寄は尖ったガラス片を上条さんの脇腹に突き刺し、
手首をひねってガラス片を回す→傷口を大きく広げましたね!
オエエーッ!!!
そう…全世界が上条さんに殺意を抱いている…それは知り合いだって例外じゃない!
もうこのシーンを読んだ時、手が震えましたよ…吹寄ちゃんがだよ?あの吹寄ちゃんが鬼のような顔を浮かべて、
完全に殺害者の動きで上条さんの腹をサクッと刺してくるんだよ?洗面器おかわりィ!

ドバドバと血が流れる脇腹を抑えながら、必死で吹寄から逃げる上条さん…が、悲劇の連鎖はまだ止まりません!
なんと致命傷を負ってフラフラの上条さんの前に…吹寄と同じく、見知ったクラスメイトが現れます。
そして上条さんは、そのクラスメイトの―――「親友」と言っても過言ではない人物の名前を呼びましたね。

上条さん「青髪ピアス…」

…うん、とりあえず「その名を呟く」→「青髪ピアス…!」と言っちゃう上条さんに吹いたんですけど、(青ピが本名か)
吹寄と同じく―――この青髪ピアスも、殺意を持って上条さんに襲いかかってきましたね!
カミやんの事情なんて知らへん。だけどボク達の近くでやらかすなや!やるなら月の裏側でも行けや!
アンタが何もせずジッとしておけば、皆が死ぬような事にはならなかったのに、と―――洗面器追加ァ!
もうキッツイわ…私って男性キャラの中でトップ5に入るぐらい青髪ピアスが好きなんですけど、
その青ピがさぁ…本気で上条さんをさぁ…「まだ期待してんのかよ」って「標準語」で殺しに来るとかさぁ!

とりあえず「右手は残そう」と冷静に考えて左手を犠牲にする→青ピを脳震盪でダウンさせる上条さんが
マジで白兵戦のプロすぎて驚いたんですけど、(不良10人ぐらいなら余裕で返り討ちにできるよねこの人)
能力も使わずに上条さんに殴り合いで負けたって事は、やっぱり青ピは無能力者なのかしら?
いやでも、新約7巻の感想で私は「第六位の能力は非戦闘用」って考察しましたし、
食料自給率の低下で青ピが餓死寸前だったと考えれば…。(まだ青ピ=第六位説を捨てきれない)

まぁそれはさておき、青ピから逃げ出した上条さんは、ついに荒い息を吐きながら止まってしまいます…。
…青ピとの戦いで負傷した左手の骨折はともかく、吹寄から食らった傷が響いているんでしょうね…。
このままでは出血多量で死んでしまいます…だけど上条さんを治療してくれる病院なんて、この世界に存在しない…。

―――すると、そんな上条さんの背後から…弱っている「命の灯火」を最後の火花まで消してしまうように、
ズブッ…と、小萌先生が背中に包丁を突き刺しましたね。ウーン…(失神)
この光景は見たくなかった…この光景は信じたくなかったよ…予想はしてたけど、それでも信じたくなかったよ…。
愛する教え子の為なら命を賭けれる小萌先生が、上条ちゃんを刺すシーンなんて見たくなかったよ…。
…いや、この世界はポリスメンが汚物は消毒だ!ヒャッハー!するほど狂っている世界ですし、
たぶん小萌先生は、上条さんのせいで愛する教え子が何人も死ぬ所を見てしまっているんでしょうね…。
「あれだけは起こってはいけない事だった」と小萌先生は言っていましたけど、
もしかすると教え子同士が食べ物を奪い合って殺し合いでもしちゃったんでしょうか?うぷぷ…!

血を吹き出しながら崩れ落ちる上条さん…もう誰が見ても「手遅れ」なダメージです。
そんな上条さんが最後に考えていたのは…「父・刀夜さん&母・詩菜さん」の事でしたね。
まぁ上条さんが大罪人になっている世界ですし、両親である2人に矛先が向けられる可能性は高いでしょう…。

すると、最後の最後で天使様が微笑んでくれたのか―――まるで運命のように上条さんの視界に液晶モニタが映り、
そこには…裁判場のような場所に立たされている両親の姿がありましたね!
良かった、2人は生きていた…それでもモニタの映像を見る限り、やはり罪に問われているんでしょう。
眼前には、完全なトドメを刺すべく小萌先生が包丁を振り上げている…もう命は長くありません。
その数秒間の中で上条さんは、ただただ…刀夜さんと詩菜さんに「すまない」と謝り続けていましたね。

そして上条さんの耳に、人生で最後に聞く人の声…裁判場で何かを訴えている、刀夜さんの声が届きました。

確かに、当麻は私と妻の二人の子供です。
それは間違いありません。しかし私達は気づいたのです!

上条当麻という絶対悪を滅ぼす為には、
彼を良く知る人物の協力が必要ではないかと!
私達を裁くのは構わない!
だけど、それは全て終わった後にしてほしい!今は、
私達が犯してしまった過ちを正すチャンスをください!



1377000276696.jpg

(※この章を読んでる時の私のリアクション)

…うん、もうね、読者の心をボキボキに折ってくる過去最高潮の黒かまちー絶望コンボと言いますか、
新約8巻のフレイヤ戦で「親子の絆」をやった後に新約9巻でこれをやるかァァァッ!?
もうキッツイわ本当に…よりによってさぁ…吹寄、青ピ、小萌先生、そして刀夜さん&詩菜さんという、
「魔術サイド」も「科学サイドの暗部」も関わっていない、上条さんにとって「大事な日常の象徴」であるキャラを
根こそぎ使っていくんだもん…もう過去作の日常シーンを綺麗な心で読めないよ私は…。
そしてアレだ、吹寄や小萌先生が登場するシーンって、わりと高確率で姫神ちゃんも登場するんですけど、
まさか「姫神の出番が無くてよかった」と心の底から思う日が来るとは思いませんでしたね…。
もし姫神が殺意に満ちた顔でスタンロッド片手に上条さんを殺しに来た日にゃあ号泣してたよ私は…。

信じた人達に殺意を向けられ、殺された上条さん…しかも「自分が今まで頑張ってきた事」まで全否定されてますからね…。
―――が、この世界を味わっても、上条当麻の心は折れていませんでしたね!
こんな世界でも…たとえ殺意を向けられても、守る価値はある。罪を償って、元に戻してみせる、と―――ッ!
…もう上条さんの予想以上のメンタルの硬さに驚いたんですけど、そうだよ!まだ上条さんは折れてないよ!
今まで何度も皆を救ってきたヒーロー舐めんな!このくらいで折れるか!見たかオティヌスちゃん!

―――が、その上条さんの反応を見たオティヌスは、ドス黒い笑みを浮かべます…。
取り戻せる?罪を償えば戻れる?…それなら今度は、こちらも「趣向」を変えてやる。
そう言ってオティヌスは、魔神の力を使って再び世界を変えましたね。


■移ろい揺らぐ世界 Version_Beta.(『上条当麻』の世界)■

13977975_p1.jpg

そして再び上条さんが目を覚ますと――― そこは、上条さんが通っている学校の教室でしたね。
さっきまでの世紀末世界とは打って変わって、この世界は上条さんの知っている「平和な日常」が続いているようです。
先ほどは殺し合った吹寄や青髪ピアスも、お昼休みのお弁当を食べている…思わず歓喜する上条さん!
まぁそれほどあの世界は「地獄」でしたからね…そうだよ!さっきまでの世界は悪い夢だったんだよ!
たぶん「グレムリンとの最終決戦」から全てが夢だったんだよ!この平和な世界が『上条当麻』の現実なんだよ!

とりあえず吹寄の怪我の有無を確かめる→モミモミ→頭突き→その度胸を讃えられて青ピ&土御門から胴上げされる→
天井に頭から突っ込んでプラーンとぶら下がる上条さんに吹いたんですけど、(一連の流れがスムーズすぎる…)
なんとその教室へ…お腹を空かしたインデックスちゃんが乱入してきましたね!
結果…あの「悪夢」からこの「平和な日常」へ帰ってこれた嬉しさでハイになっているのか、
珍しく今日の上条さんは「豪華な夕食」を作る為に、放課後…インちゃんと一緒にスーパーへ向かう事になりました!

そんな感じで2人仲良くスーパーへ向かう上条さん&インちゃん(+スフィンクス)でしたが、
その道中で…最近出番が多くなってきた雲川芹亜&雲川鞠亜シスターズがエンカウントしましたね。
どうやら妹の鞠亜ちゃんは、家事スキルがゼロで台所がバイオハザードになっている姉をメイドとして心配しているようです。

―――が、そんな事はどうでもいい姉の芹亜さんは、「妹が上条さんとフラグを立ててないか」という
事実だけが気になっている様子でしたね。この人は本当に上条さん大好きだなぁ!過去に何があったのさ!
とりあえずそれを指摘されてプルプル震える芹亜さんがだんだんポンコツになってきて最高なんですけど、
そんなポンコツ姉を見て…妹の鞠亜ちゃんが「第五位の武勇伝」と呟いたのは気になりますね。
どうして人の心を操る専門家は、こうも自分の心がダメージを受けるとパニックになるのか、と…。
…ふむ、まぁ原作超電磁砲を読む限り、食蜂さんも芹亜さんと同じくポンコツ娘だからなぁ。
たぶんそのポンコツな噂が広まって、「第五位の武勇伝」と言われているんでしょう。
食蜂さんの「派閥」に人が多いのは、意外と「ポンコツな女王かわいい!」という「保護愛」なのかもしれないなぁ。

まぁそれはさておき、話を戻しますが…インちゃんとイチャコラしながらスーパーへ向かっていた上条さんでしたが、
うっかり転んでしまい…鞠亜ちゃんの足の間に頭からシュウウウウ!!! しましたね!
うわぁー!ちょっと上条さん相変わらずフルスロットルすぎるよぉ!顔の前にパンツとか「ToLOVEる」のリトさんかよ!

当然、上条さんが大好きな姉の芹亜さん&インデックスちゃんは、血管をビキビキ言わせて怒っているんですけど、
被害者である鞠亜ちゃんは…パンツを見られているのに、あんまり恥ずかしがっていませんでしたね。
どうやら「見せパン」のようです…新約8巻で美琴がベンチに仁王立ちした感じと同じ気分なんでしょう。

―――が、なんと上条さんは…インデックスちゃんの頭ガブガブから逃げる為に、
鞠亜ちゃんを肩車して走り出しましたね!何してんのアンタァァァァァッ!!!
もう捕まるぐらいなら罪を重ねてでも逃げてやる!という上条さんの判断力に脱帽なんですけど、とりあえず
上条さんのツンツン頭がパンツに擦れる→あえぐ鞠亜ちゃんがとってもエロかったのでOKさ!
まぁ結局、ブチ切れた芹亜姉さんから見事なドロップキックを食らって上条さんは吹っ飛び、
もちろんインデックスちゃんからガブガブされるワケなんですけども、パンツを頭で感じるのと比べたら安いもんさ!(ぇー)

その後、上条さんは予定通り高級スーパーへ向かいますが…そこでビリビリ電撃姫・御坂美琴ちゃんと出会いました。
…どうやら食品業界にとって、「常盤台のお嬢様に食べてもらえた」という事実は相当なステータスらしく、
最近「うちの食品を食べて下さい!」という強引な勧誘が増え…常盤台の女の子が怖がっているようですね。
だから美琴ちゃんが、その責任者をビリビリしに来た、と…本当に頼れるお姉様だなぁ。

とまぁそんな感じで、可愛らしい天使のようなヒロインに囲まれ…時にはガブガブビリビリされながらも、
上条さんはこの「日常」にかげがえのない「幸せ」を感じていましたね。
ああ、楽しいなぁ…これから何度もトラブルに巻き込まれる事があっても、この「日常」があるから俺が頑張れる。
帰る場所があるから、拳を握れる…この幸せな日々がずっと続くことを、俺は願っている、と―――。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

そして視点が変わり―――物語の場所は、もう夕暮れで誰もいなくなった上条さんのクラスの教室に戻ります。
その教室の、隅の方の席で…「本物の上条当麻」がブルブル震えていましたね。
ワケが分からない…共通点なんてツンツン頭ぐらいしかないのに、着用している学生服ぐらいしかないのに、
俺とは違う全くの別人が「上条当麻」を名乗り、上条当麻の日常を送っている!
誰もその違和感に気づかず、クラスメイトも、雲川姉妹も、美琴も、インデックスも…アイツを『上条当麻』だと思って、
一緒に昼ご飯を食べたり、ラッキースケベでイチャイチャしたり、仲良くスーパーへ行ったりしている…ッ!!!


1377000276696 (2)

(※この章を読んでる時の私のリアクション)

公式で寝取られシチュとか正気か鎌池先生ェーッ!!!…なんとオティヌスが作った次の世界とは、
自分とまったく見た目が違う見知らぬ男に…『上条当麻』の居場所が奪い去られている世界でしたね。
お前の回りにいる仲間や友人は、お前の経歴や人柄を「勝手に想像して」好意を持っているだけの連中だ…それなら、
その経歴や人柄さえ同じなら、お前じゃなくても構わない…脂ぎった親父や老人でもOKなんだ、と―――ッ!
もうキッツイわ…さっきの世紀末世界とはまた違った絶望があるわ…私の心はズタボロですよ…。
というかアレだ、頭だけ天井に突っ込んでいる上条さん→体だけを見て上条さんだと気づく小萌先生~という
やり取りがあったんですけど、あれも伏線だったんだなぁ…「偽物の上条当麻」の体を見て一発で気づく、と…。

まぁ甘い匂いを漂わせながら、セグウェイに乗ったり、鏡の前でクルクル回ったり、電柱の上に座ったり、
女教師っぽいスタイルで教壇に上がっているオティヌスがなんか可愛くてちょっと回復したんですけど、(ぇー)
オティヌスはものすっごく顔を近づけてで上条さんに語りかけます…こんな世界、守る価値はあったのか?と…。
さっきの世界では「見方」を変えただけで全人類がお前を殺しに来た…そしてこの世界では、
みんな「お前の外面」しか見ていないと証明された…こんな世界、もう捨てちまえ…折れろ…折れろよ、と…。

―――が、なんとこの世界を味わっても…上条当麻の心は折れていませんでしたね!
俺は何かを得る為に戦ったわけじゃない…たとえこの世界に「俺」が存在しなくても、
この世界は俺が守ってきた世界に変わりない…それを否定する事はできない、十分に価値があるッ!

…もう『上条当麻』という名前を奪われても自己を保ち続ける上条さんが精神的超人すぎて涙が出るんですけど、
なかなか折れない上条さんを不快に思いながら…そして虫のようにもがき続ける上条さんをニヤニヤ楽しみながら、
オティヌスは三度世界を変え―――上条当麻の無限に続く「地獄」が開始されましたね。


■移ろい揺らぐ世界 Version_…………….(無限地獄)■

ボス

上条さん「オレのそばに近寄るなああ――ッ!!!」

そして上条さんは、前の二つの世界と同じように…常人なら一瞬で心が折れるレベルの世界を、何万回も体験します。
冤罪で首吊り処刑される。山の中で「知り合い」と遭難して皆から自分が食われる。
意識はあるのに病院のベッドから動く事ができず、そのまま葬式が行われる。
腐葉土の中に埋められて、長い時間をかけて体が腐っていく。
地球が崩壊して、カプセルの中に詰められて宇宙空間をさまよう。
巨大ロボットが町で暴れ回ったり、小惑星が地球に衝突するピンチが訪れて、
上条さんは何もできず無力感に包まれる。
などなど…オエエーッ!!!
もうやめて…やめて鎌池先生…上条さんが何をしたって言うんだ…ここまで酷い目に合う主人公はなかなかいないよ…。

…たぶん山で遭難して皆から上条さんが食われる世界は、くじ引きで食べられる人間を決める→
上条さんは「不幸」だから一発ではずれクジを引いちゃう、みたいなパターンなんだろうなぁ。
なんとなく藤子・F・不二雄先生の「カンビュセスの籤」という短編を思い出したよ…ミートキューブ…。
そんでその他の絶望世界は、これまたなんとなく手塚治虫先生の「火の鳥」を連想する「地獄」ですよね。
さながら上条さんは、どのストーリーでも酷い目に合う猿田彦かな?そしてオティヌスが火の鳥ポジション。

というかアレだ、番外編SSである「卒業式SS」で、上条さんは3回死ぬ!リアル心頭滅却!とかやってるんですけど、
もう3回死亡どころじゃないですし、たぶんこの無限地獄でリアル心頭滅却やってるよね…ギャグSSが実現するなんて…。

ちなみに北欧神話のオーディンって、現世で戦死した(時にはオーディンがわざと死亡させる)『勇者の魂』を、
ワルキューレを使って「ヴァルハラの館」まで連れて行って、VS巨人の戦力にする為に…、
朝から夕方まで殺し合わせて、死んだら生き返らせるをループさせているんですよね。
まるで今の上条さんは、その戦士ですよ…いや、ヴァルハラの戦士は戦いに喜びを見出しているので、
上条さんはもっとヒドいな…ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、絶望を見ながら心が折れるまで死に続ける…。

―――が、この無限地獄を味わっても…ギリッギリで上条さんは、まだ心を保っていました。
そして朦朧した意識の中で、オティヌスと対話し―――「位相」の話を聞きましたね。
どうやらオティヌスは、世界を作っている…というより、何もない真っ白な世界…純白のキャンパスに、
ペタペタと色とりどりの絵の具を塗って、世界を変えているようですね…この「色」が「位相」なんだそうです。
だから一見すると何もない世界…最初の暗黒世界も、それは「純白のキャンパス」ではなく、
「白い絵の具」で塗り潰した世界みたいですね…オティヌスは「上書き」しかできない。

だから上条さんは、オティヌスの「作る力」とは正反対…「壊す力」である「幻想殺し」に逆転の可能性を感じていましたが、
その安易な考えを見透かしたように…オティヌスは、上条さんの心を折る「とびっきり」を放ちましたね。
果たして今度のオティヌスは、上条さんの心を折る為にどんな「位相」を作ったのか―――ッ?


■移ろい揺らぐ世界 Version_Omega.(幸せな世界)■

SWScan (2s)

そして上条さんが「次の世界」で目を覚ますと、そこは一見すると平和な…なんの異常も起きていない「公園」でしたね。
柔らかい黄金のような日の当たる公園で、白いベンチに座らされている…しかし上条さんは1ミリも警戒はゆるめませんッ!
まぁジョジョ5部のディアボロみたく、本当にどこから「絶望」が襲ってくるか分かりませんからね…。
さて、この世界では何が起きるのか…核ミサイルでも落ちてくるのか、はたまた殺人鬼でも襲ってくるのか…?

―――が、ひとまず「見(けん)」に入った上条さんがベンチに座った状態で回りを観察していると、
目の前に…死んだはずの親友・エリスと遊んでいる幼いシェリーがいましたね!
シェリー=クロムウェル…死んだ親友・エリスの名前をゴーレムに名付け、科学を恨んだ事もある女性!
なんで彼女が子供になって、そのエリスと遊んでいるのか…ここは時空が巻き戻った過去の世界なのか…?

しかし上条さんの混乱は止まらず、次々と驚くべき光景が目の前に広がっていきます!

上半身を分断されて死んだはずの左方のテッラが、他の右席メンバーとお茶をしている。
孤児になって路上生活を送ったアニェーゼが、両親と楽しそうにピクニックをしている。
雲川鞠亜ちゃんが、大好きな木原加群先生とラブラブしながらデートして、
それを見た『グレムリン』のマリアンが嫉妬して、他のメンバーも呆れている。
死んだはずのフレンダ、駒場利徳を含めた『アイテム』+『スキルアウト』のメンバーが、
これっぽっちも「暗部」なんて関係なく…ただ楽しそうに、ファミレスで談笑している。
「魔術サイド」や「科学サイド」という壁は消え、シスター達も仲良くなっている。
犬猿の仲だったハズの雲川芹亜さん&食蜂さんが、2人でお祭りを楽しんでいる。
第一位と第三位がタッグを組んで、ミサカシスターズを2万人全員救っている。
2人が1人に合体したパーフェクトアリサちゃんがライブをしている。

…なんとオティヌスが作り出した世界とは、「誰もが救われている幸せな世界」でしたね。
新約7巻で登場したサイボーグ少女・恋査は、上条さんに「ノーミスクリアはありえない」と言っていましたけど、
この世界はまさにパーフェクトです…上条さんがタイムマシンでも使わないと救えなかった人間が生き返り、
上条さんの目の届かない場所で死んだ人間も生き返り、幸福な日常を送っている…ッ!!!

そしてオティヌスは、呆然としている上条さんに…「自殺しろ」と言いましたね。
この幸せな世界は、「上条当麻がいない前提」で最高の黄金比を描いている…つまりお前という不純物がいると、
この世界は次第に崩壊を始めてしまう…だから一刻も早く、この世界から消えろ、と―――ッ!!!

…まさに、世界を壊せる「幻想殺し」に逆転の可能性を感じていた上条さんに対する、最悪最凶のカウンターです。
上条さんが「右手」を伸ばせば届くほど近くで「主神の槍」をチラチラ見せつけてくるオティヌス…!
どうした?触ってみろよ!この「幸福(げんそう)」を殺せるなら殺してみろ!異能者!

地面を向いて震える上条さん…そんな彼の前に、サッカーボールがポーンと転がってきましたね。
思わず顔を上げる上条さん―――すると目の前には、あまりにも眩しすぎる光景が広がっていました。
インデックスが、ステイル&神裂火織と遊んでいる―――。
自動書記の首輪や、記憶消去なんて呪われた運命は無く、
普通の少女として、1番最初の友達と仲良く平和に過ごしている…!

ボールを拾おうと近づいてくるインデックスちゃん…彼女は「上条当麻」なんて少年の事は知りません。
彼女はブルブル震えている上条さんを心配そうに眺めた後、また「大好きな友達」の元に戻っていく―――。
上条さんは思わず彼女を「右手」で触ってしまいそうになりますが、それを必死で抑えます…ッ!


SWScan (2)

信じていた人達から殺されても、耐えられた。
自分の大切な居場所を奪われても、耐えられた。
発狂するような絶望を味わっても、耐えられた。

インデックスが幸せだった。もう駄目だった。


…実は上条さんって、「大切な人の横に知らない誰かが立ってたら正気じゃいられない」って
旧約2巻のP133で言ってるんですよね…それでも「Version_Beta.」で心が折れなかったのは、
ちゃんと自分じゃない『上条当麻』がインデックスちゃんの幸せを保っていて、
自分がインデックスちゃんを幸せにした「過程」があるからだったと思うんですよね。
あのインデックスは、俺に笑顔を向けてくれない…それでもあのインデックスが笑顔なのは、俺の努力の成果なんだ、と…。

だけどこの世界は違います…そうだ、本当にインデックスを救うべきだったのは、
ずっと彼女を見守っていた最愛の友人である、ステイルと神裂だったんだ。
俺はインデックスを横から奪いとった男だったんだ、と―――ッ!

目の前でサッカーを楽しんでいるインデックスこそ、1番最初に救われたインデックスであり、
もうこの世界に俺の役目は無く…むしろこの幸せな世界を邪魔する「不純物」でしかなかったんだ、と…。

こうして、上条さんの心は折れ、オティヌスの言う通り…「自殺」を決意しましたね。
もう読んでて苦しいよ…自分を遥かに上回る「ヒーロー」なオティヌスを見て、自分の存在価値を見失うってね…。
どれだけ「絶望」を味わっても折れなかった上条さんが、「最高の希望」で折れるってね…。

そしてベンチから立ち上がり、必ず死ねる「死に場所」を探す上条さん…まぁ上条さんって「不運」ですけど、
不運だからこそ、並大抵のトラブルは無意識の内に乗り超えちゃう「悪運」がありますからね…。
だから手首を切ったり、車に突っ込んだりしても、まず100%生き残っちゃうんでしょう。
もう吐き気が止まらん…何十人もの知り合いとすれ違っているのに、
誰一人として目が死んだ上条さんを引き止めない
のが…もう…!

トボトボと町を彷徨う上条さん…そんな彼が決めた「死に場所」は、「ビルの屋上」でしたね。
下手なダメージじゃ回復して生き残ってしまう…でも上空300メートルのここなら、文句無しで「即死」できる。

そして上条さんは、ビルの屋上で…「幸せに包まれた黄金色の町」を眺めて、思わず感動してしまいます。
まぁこの世界は、上条さんがどうやっても実現できなかった「最高のハッピーエンド」ですからね…。
こんな綺麗な世界で死ねるなんて、最高の死に場所だよ、オティヌス――― そう言って上条さんは、
ゆっくりと、1歩1歩、足を進めていきます…怖くはない、俺が消えても、オティヌスがいるんだから…。
生まれ変わりでも、新たな旅立ちでもなく…この綺麗な世界を汚す「ゴミ」が消えるように、
ビルの屋上から300メートル落下する最後の一歩を、静かに踏み出して――――――――――――




新規

うらーっ!!!/return さっきから黙って見てりゃあ
テメェいい加減にしろよこの野郎ーっ!!!/return





■「平凡な高校生」■

20130623163058dbf_2014012101295382c.jpg

うわああああああ総体ちゃんだああああああっ!!!

謎の叫び声と共に、背後からドロップキックを食らう上条さん…当然、体は前に吹っ飛びます!
…どうやらドロップキックをした少女は上条さんの自殺を止めようとしていたようですけど、
これじゃあ文字通り背中を押している感じでしょう…上空300メートルに放り出される上条さんッ!
…と思いきや、上条さんの体は地面に激突せず…運良く「清掃用のゴンドラ」に落ちていましたね。
ふむ…オティヌスが上条さんを本気で自殺させる気なら「清掃用のゴンドラ」なんて設置しないでしょうし、
やっぱり自殺させる気は無く、「心が折れて自殺を決意する」という「過程」が欲しかったんでしょうね。

そしてゴンドラから上条さんが上を見上げると、そこには…ぶんぶん手を振っている「ミサカ」がいましたね。
ミサカ何号なのか?…いや、この世界で俺を知っているミサカなんて、2万人の中に1人もいないハズだ。
…なんとその正体とは、10031号の体を借りたネットワークの大いなる意思・総体ちゃんでしたね!
前にも新約6巻で一通さんの前に登場した総体ちゃんが、上条さんを助けに来た、と―――ッ!
もうこのシーンは読んでて震えたわ……だって今までずっとオティヌスの手の平の上で、
味方ゼロの上条さんが虐められてたんだもん…そこでオティヌスでも予想外な味方登場とか…もうね…!

そんでもって上条さんは、総体ちゃんに連れられて…備え付けの家具しかない「上条さんの部屋」へ向かいます。
…どうやらオティヌスは、「生者と死者しか操れない」らしく、生きているミサカと死んでいるミサカのデータが
両方保存されているシステム・総体ちゃんは、どちらにも含まれず…オティヌスの手の平の上から離れていたようですね。
「シュレディンガーの猫」のように、生と死が混ざり合い、生きているけど死んでいる、どこにでもいてどこにもいない…。

…というかアレだ、新約6巻で一通さんの前に登場した総体ちゃんは、ただ淡々と会話不能な「メール」を使って
「楽な道に逃げたら地獄に叩きこむぞ、自分が辛い道を進めや」と辛辣な感じだったんですけど、
上条さんの前に登場した総体ちゃんはめっちゃ嬉しそうだなぁ…マシンガントークすぎる…つか会話できるのね…。
まぁミサカシスターズって大半が上条さんに好意を持ってますし、新約6巻でも上条さんが気になる~とか言ってましたし、
念願の上条さんと喋れて大興奮なんでしょうね総体ちゃん。オリジナルである美琴ちゃんと口調が似てるのがまたね…。

そしてアレだ、上条さんが初めて出会ったミサカであり、初めて「死体」を目の当たりにしたミサカであり、
唯一"がんばれば救える可能性があった"ミサカ…ミサカ10031号の体に宿ってくるとか、
総体ちゃん粋な事するなぁ…10031号はミサカの中でも1,2を争う悲惨な死に方をしてたので、この救済は嬉しいですよ…。
まぁ「宿っている」…というか、大いなる意思である総体ちゃんの中には10031号の意思もあるので、
上条さんは10031号と再会した…と言っても過言ではないんですけどね。
…そういや上条さんが公園で10031号と初めて出会った時も夕方で、今も夕方だなぁ…。

まぁそれはさておき、どうやら総体ちゃんは、グジグジしている上条さんに喝を入れに来たようですね。
アンタ、この「幸せな世界」の「誰も前の世界を覚えていない」という矛盾にはツッコまないの?と…。
この世界で幸せを享受している彼らは、自分の幸せが「上条当麻」という少年の「犠牲」で作られているとは知らない。
それはおかしい…こんなのフェアじゃない、上条当麻の心を折るなら、こんなイカサマはありえない。
この「幸せな世界」を100%にするには、この世界を生きている全員が上条当麻の死を受け入れる必要がある、と…!

…まぁそもそもこの世界って、「上条さんとオティヌスの主観で見た幸せな世界」ですからね…。
「これって幸せだろ?ん?」と無理やり押しつけた幸福と言いますか、エゴの塊と言いますか…矛盾だらけなんですよ。
錬金術士・アウレオルス=イザードは「インデックスと知り合わなかった方が幸せ」だと断罪されてますし、
父親が死なないと生まれる事はなかったアリサちゃんが存在してますし、建宮さんは生き返ってませんし…。
バトルマニアのトールや、知的好奇心の塊である木原一族だって、こんな世界は「真の幸福」じゃないでしょう。

たしかに、上条さんをよく知っている人なら…上条さんに助けてもらった過去がある人なら、
自分の幸せを差し出して、上条さんの自殺を止めようとしてくれる人も多いかもしれません。
それでも…いや、だからこそ、「俺なんかの為に大切な人を殺す選択をさせたくない」と言って、
上条さんは首を縦に振りません…するとそんな彼に対して総体ちゃんは、とてもシンプルな質問をしましたね。





「アンタ、オティヌスとかいうポッと出の
 黒幕にこれまで築いてきた全てを
 奪われて、本当に悔しくないの?/escape」



















  「俺だって悔しいよ。」




















絵30a439

悔しいに決まってる…悔しいに決まってるだろ!!!
俺は財産や権力なんかが欲しくて戦ってきたわけじゃない。
ただ、「当たり前の日常」を取り戻したくて拳を握っただけなんだ。
それなのに、なんで俺が「絶対悪」「不純物」なんて呼ばれないといけないんだ。
何が「不幸」だよ、俺は必死で自分を騙して折り合いをつけて、
なんとかバランスを取っていたんだ。それをオティヌスがぶち壊した!
俺が血反吐を吐いて乗り超えてきた道を、全てオティヌスに奪われた!
アイツにとっては「主神の槍」を使うだけで実現できる「遊び」が、
俺には100年がんばっても実現できない「夢」だった。
あんなインデックスの笑顔は見た事がなかった!
だからオティヌスが作った「幸せな世界」は殺せない。
この「幸せな世界」を殺してオティヌスを撃破して、
元の「当たり前の日常」を取り戻したとしても、
全てを知っている俺は、皆に顔向けできない。
だって、皆の「最高の幸せ」という可能性を、俺が殺したんだから!
もうその罪悪感がある限り、俺は「当たり前の日常」に戻れない。
それなら、もう戻っても仕方が無いのなら、この「幸せな世界」でいいじゃないか。
それ以外に何ができるんだ…こんなの、こんなのっ…!

ここまでやられて前なんか一歩も進めるわけねぇだろうがッッッ!!!!






SWScan (5)

上条さんの4ページフルに使った泣き言→
総体ちゃん頭なでなでの流れで泣いた。泣いた。


…今まで上条さんって、何度も何度も「不幸だー!」というセリフを言っていたんですけど、
それは「俺は不幸だから仕方無い」と無理やり自分の心を納得させていたんですね…。
子供の頃、「疫病神」と言われて殺されかけ、学園都市へやって来ても不幸は止まらず、3日に1回は死にかけている…。
そんな人生、ヘラヘラ笑って済ませられるハズがない…こうやって「不幸だから」と言い聞かせないと、
とっくに心は折れていたんでしょう…もう上条さんの「不幸だ」ってセリフを聞くだけで泣くぞ私は…。
旧約12巻で上条さんが「しあわせになれればなんでもいいです」と進路希望のプリントに書いていた
真の意味が分かったよ…なんだこの不幸すぎる主人公は…悲しすぎるだろォ…!

というかあとがきで鎌池先生が、「そろそろアイツ(上条さん)も顔をくしゃくしゃにして泣いたっていいじゃない」
言ってたんですけど、ここまで心が折れるほどフルボッコにするのはやりすぎだよォ!
無限地獄&自己の完全否定とか、そら泣くわ!上条さんも泣くわーい!こんな黒いかまちー過去最高だよ!
たぶん鎌池先生、上条さんを虐めてる文章を書く時、めっちゃニヤニヤしてたと思うね!
はいむら先生とイラストの打ち合わせをして、寝取られ世界のカラーイラストや、
幸せな世界のインデックスのカラーイラストを受け取った時とか、こんなツラしてたと思うよ!

えぐえぐ泣き続ける上条さん…そんな彼を見た総体ちゃんは、彼を撫でながら「安心」します。
どうやら総体ちゃんは、上条さんが「平凡な高校生」らしく泣いてくれた事が本当に嬉しかったようですね。
…まぁ最近の上条さんは、バードウェイちゃんからドン引きされるぐらいメサイアコンプレックスだったからなぁ。
人を救うマシンと言いますか、自分の都合を1番最後にしていると言いますか…人間味が消えていたんですよ。

そして総体ちゃんは…上条さんに「1回ぐらい自分を優先しちゃっていいじゃん」と言いましたね。
アンタが万人を救いたいと考えているのなら、「自分の心」だって救ってやるべきだ。
元の世界に戻っても「罪悪感」で押し潰されるって言うんなら、全てを告白しちゃえばいい。
俺はお前らの「最高のハッピーエンド」を見殺しにして、生き残りましたって―――。
そしたらたぶん嫌われるけど、人間関係が崩れちゃったら、ずっと謝って、またイチから作っていこうよ。
大丈夫、アンタは一人じゃない、私も一緒に謝ってあげる、と…なんだこのお母さんは!

もう総体ちゃんお母さんすぎるだろ…「かえりたい!でも怒られる!」→「一緒に謝るよ(ナデナデ)」って…。
しかもアレだ、総体ちゃんって、「1発で上条さんを復活させる奥の手」を隠しているんですよね。
…どうやら総体ちゃんは、「10031人の死亡したミサカ」と「9969人の生き残ったミサカ」のデータがあって初めて、
思考生命体として完成しているらしく…2万人のミサカが全員生き返ってしまったこの世界では、
黄金比が崩れ…自分を保っているのも難しい限界ギリギリな状態なんだそうですね。

その事実を上条さんに話せば、彼は1秒で立ち上がるでしょう…たった1人の少女の為に拳を握る男ですもん。
でもそれじゃダメだ…ここは上条当麻が、自分の力で立ち上がるべき時だ、と…ッ!
もうマジでお母さんすぎる…甘えさせないで厳しく育てるとかね…それでいて背中を押してあげるとかね…。

こうして…ずっと誰かの為に戦っていた上条当麻という少年は、
初めて"自分自身"の為だけに拳を握り、立ち上がりましたね!



■少女位相、幾千億 Create_V.S._Break.(オティヌスVS上条当麻)■

SWScan_20140124200558833.jpg

「創る者(Create)」VS「壊す者(Break)」――― そして復活した上条さんは、
自分にとって「日常の象徴」である学校のグラウンドで、魔神・オティヌスと向かい合います…ッ!
完全に心が折れたと思っていた虫ケラが、まだピクピクと動いている…オティヌスは顔を歪め、
魂の炎が再点火した上条さんを睨みつけます…もういい、心を折るのは飽きた、今度こそ殺してやる!
そう言ってオティヌスは「主神の槍」を構え、あまりにも無謀な「神」と「人間」の戦いが始まりましたね…。

…そして上条さんは、何度も何度オティヌスに挑み続け、これまた何度も何度も死に続けましたね。
しかも死んだ瞬間に生き返る、なんて都合の良いレベルじゃない…最初の暗黒世界へ戻されてしまう!
つまり今の上条さんは、オティヌスに負けて死ぬ→1番最初の暗黒空間に戻される→
無限地獄をフルコースで味わう→幸福世界でオティヌスとバトル→死ぬ
…という流れを、
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もループしているようです…。

…P241でオティヌスが「何百万回も繰り返した~」と言って、さらに「1回のループにつき無限地獄」が追加されるので、
体が腐っていく長い世界などもありましたし…恐らく今の上条さんは、数十億年 ほどループしているでしょう。
まぁ「ザザザザ…!」という感じで、デジャブった記憶は頭から弾き出されているので、
きっちり数十億年の記憶が脳に入っているワケじゃないでしょうけど、それでも相当ですよ…。
それなのに上条さんの心は折れず、即死クソゲーを何度もコンテニューしてクリアするように、
ちょっとずつ…ほんのちょっとずつ、オティヌスの攻撃を見切り始めている、と―――ッ!

すげぇ…すげぇよ上条さん…シェルターに閉じ込められただけで発狂した馬場君や、
1000年生きただけで自殺を求めるようになったレディリーちゃんとは大違いだよ…神のメンタルすぎる…。
眠ったり自殺したりできない空間で5億年生き続ける「五億年スイッチ」や、
世にも奇妙な物語であった、薬物で長い幻覚を見せられる「懲役30日」を軽々と超えてるよ…。

自分の身で「死んで覚える」を続ける上条さん…そんな終わりが見えない戦いの中で上条さんは、
今度こそ殺してやる!と言ったオティヌスが、なんで自分を生き返らせるのか?…という「謎」について考えていましたね。
考える時間は腐るほどあった…そして上条さんは、「とある仮定」を考え出しました。

なぁオティヌス、根本的な質問をしたいんだけどさ。
ひょっとしたら、お前が「主神の槍」を手に入れる前から。
「グレムリン」なんて組織の親玉に居座る前から。
オッレルスなんていう規格外の怪物とかち合う前から。
オティヌスなんて名前を名乗る前から。
…お前は、ずっと以前にこんな失敗をやらかしていたんじゃないのか?
素晴らしい力を手に入れたせいで後ろを振り返る事もなく、
前に進んだ結果、どこへ帰ればいいのか分からなくなった事が…!



■オティヌスという少女■

新約8巻の感想で私は、お腹のルーン文字などから「フレイヤ親子」の人生を推理・考察しましたけど、(参照)
今回も…『グレムリン』のボスである、魔神・オティヌスの人生を推理・考察 しようと思います。
あくまで私の自分勝手な…毛利小五郎のおっちゃんレベルの推理・考察なので、そこらへんはご了承ください。

えーと、まずは…この「新約禁書」に入ってから頻繁に単語として登場している「北欧神話」をサラッと説明します。
もともと「北欧神話」とはゲルマン民族に伝わっている神話で、ゲルマン神話の一種だったんですよね。
だけど4~5世紀の頃に起きた「ゲルマン民族の大移動」で、ゲルマンの人々(アングル族、ザクセン人、フランク人)などは、
ローマ帝国(キリスト教)から支配されてしまい…その北欧神話はどんどん消えちゃったんですよ。
まぁ北欧神話の神様って、良くも悪くもワイルドですからね…浮気しまくりですもん…そりゃ十字教の人はキレるわ…。

とまぁそんな感じで、すっかり北欧神話は消えちゃったんですけど…ちゃんと「資料」が残っていたんですよね。
その数少ない資料から、専門家の方々が色んな神話を引き出したのが、今の「北欧神話」なワケなのです。
つまり北欧神話って「完成する事の無いパズル」のような物であり、かなり断片的なんですよね。
この1冊を読めば北欧神話を完璧に味わえる!という本なんて存在せず、残ってる色んな資料から集めるしかないんです。
以下、その北欧神話の中でも有名な資料をパパっと紹介します。

hokuou (2)

「新エッダ&古エッダ」―――他にも「詩のエッダ」とか「散文のエッダ」とか呼ばれてますね。
北欧神話と言ったらまさにこれ!と言っても過言じゃないぐらい王道ストレートな資料であり、
ゲームや漫画、アニメの元ネタになっているのは100%こっちです。神々がワイワイ楽しんだり、
浮気したり、ケンカしたり、殺し合ったり、最終戦争したり…「ヴァルトラウテさんの婚活事情」の元ネタもこっちです。
色んな神様や、巨人、怪物、伝説上の武器が沢山登場!かーっ!中二病をゾクゾクさせる設定ですよ!
だけど話を戻して…本題である「魔神・オティヌス」の考察に使うのは、こっちの資料じゃないんですよね。


hokuou (1)

「デンマーク人の事績」―――歴史家・サクソ・グラマティクスが書いた本であり、
ガッチガチの北欧神話ブックであるエッダとは違って、これは名前の通り…「デンマークの歴史書」です。
まぁちゃんと中身には、北欧神話の神様が登場して、色んなストーリーを繰り広げるワケなんですけど、
上の「エッダ」とはかなり別物なんですね…「ポケスペ」と「穴久保ポケモン」ぐらい違います。(ギエピー!)
だってこの本に登場する神様って、「魔法が使える"人間"が神格化された存在」なんですもん。
しかも作者のサクソさんがキリスト教なので、その神様の扱いもかなりぞんざいなんですよね…。
いや、ぞんざいどころか…オーディンなんて、デンマーク王家の邪魔者扱いなんですよ。
なので上の「エッダ」より先に登場したにも関わらず、悲しくもマイナーな資料なんですけど、
「とある」に登場するオーディン(オティヌス)の元ネタはこっちの本です。

えー!なんだよー!「エッダ」と「デンマーク人の事績」で登場するオーディン(オティヌス)の設定が違うじゃーん!
こんなの矛盾してるよー!どっちかの作者が嘘ついてるよー!ブーブー!…と思われるでしょうけど、
まぁ昔の本ですし…そこに「解釈の相違」が発生するのは仕方無いでしょう。だけど、それは現実の話です。
禁書の世界は違う…新約9巻のP246を読めば分かる通り、作者は真実だけを書いているんですよね。
オーディンの設定が異なっているのに、作者は誰も嘘をついていない…つまり、それは何を意味するのか―――?


絵30a443

オーディン(オティヌス)は2人存在した…そうとしか考えられないでしょう。
「デンマーク人の事績」に記録されている、金髪碧眼の美少女オーディン(オティヌス)と、
「エッダ」に記録されている、ヒゲモジャで筋肉隆々のオーディン…それぞれ存在したとしか考えられない…。

まず1番最初に、私達が知っている金髪碧眼のオティヌスがいた…「デンマーク人の事績」が元ネタなので、
この頃のオティヌスは普通の魔術師だったんでしょうね…そして自分の努力だけで、魔神になった。
努力と根性だけで「人間」が神格化され、「神」に達したと考えるべきでしょうね。

…ちなみに読んでて分かったと思いますけど、P36の行間などを読めば分かる通り、
上条さんが味わった無限地獄はほとんどオティヌスが体験した過去なので、
この魔神になる過程で…彼女はキリスト教から弾圧されて、無限の地獄を味わったんでしょうか?
「デンマーク人の事績」のストーリーでも、オティヌスちゃん追放されまくりですからね…。
そりゃ上条さんを虐めるアイディアもポンポン出てくるわなぁ…だって自分の記憶なんですもん…。
上条さんを虐めている挿絵のオティヌスがまったく笑っていないのも、これが理由だったのかもなぁ…。

まぁそれはさておき、P156の行間を読めば分かる通り…魔神になったオティヌスは「正義」や「平和」を考え、
何度も「主神の槍」を使って世界をより良い方向へ作り変えます…その結果、
上条さんが暮らしている位相世界―――「とある魔術の禁書目録」の世界が生まれました。
こうして「最高傑作」を作ったオティヌスは安心して…いや、自分の魔神の力を恐れて、人の身へ戻りましたね。

…そういや「Beta」でオティヌスが上条さんに、「お前の代わりは脂ぎった親父でも爺でもいい」とか
言ってましたけど…あの言葉も、自分自身に当てはめられた言葉だったんでしょうね。
自分が魔神をやめても、「エッダ」のオーディン…脂ぎった親父のオーディンがいる、と…。
まぁその親父オーディンは、伝説通りならフェンリルに食い殺されるんですけどね。

そんな感じで、「私って魔神だった意味あったのかな…(´・ω・`)」と少なからず自信を失いながらも、
オティヌスちゃんは自分が作った最高傑作の世界で、普通の人間として生きていました―――が、
ここでトラブルが生じましたね…「本当にこの世界は完璧なのか?」という疑問を持ってしまった。
まぁどれだけ最高傑作でも、その作品を「批評」する人間が一人もいませんからね…その世界で生きている人間に
「この世界どうよ?」と聞いても、分かるワケがない…この世界が完璧なのか証明する事ができない。

その結果…オティヌスは、もう一度、人間の身から「魔神」を目指そうと決めました。
やっぱり今の世界はちょっとおかしいかもしんない…今度こそ完璧な世界を作ってやるぜ!と…!
しかしその過程で、あの魔神になれなかった男・オッレルスと出会い…魔神の座を何度か奪い合い、
ライバル関係になりながらも…オティヌスは「魔神」の力を50%だけゲットしましたね。
そして「グレムリン」のボスとして「主神の槍」で100%を目指そうとしたのが、「新約禁書」の物語なんでしょう。

そんで話を「オティヌスが上条さんを殺しても生きかえらせる理由」に戻りますけど、
上でも言っているように…オティヌスは世界を上書きする事はできても、消す事はできないんですよね。
それができるのは、「幻想殺し」だけ…この右手さえ使えば、自分が生まれた「最初の世界」まで戻す事ができる。
もしかするとその生まれた世界こそ、自分が求める世界だったのかもしれない…その考えが頭から消えなかったから、
オティヌスは「主神の槍」で世界を作り直すと言いながらも、世界を戻す「幻想殺し」を諦めきれなかったんでしょう。



■決着■

そもそも「戦い」なんてレベルじゃなかった…上条さんとオティヌスの戦いは、オティヌスが「選ぶ」だけの作業でした。
世界を「壊すか」「作るか」その2つを選択するだけ―――オティヌスは上条さんを殺しながら悩み続けます。
そして「悩む」という行動を始めてから10031回目の戦いで…ついにオティヌスは「作る」と決めましたね。
過去を諦めて、未来を生きよう…作った世界に満足できなくても、頭で無理やり「この世界は完璧だ」と納得しよう、と…。

そうと決まれば、もう今度こそ「上条当麻」を生き返らせる必要は無い…10032回目の戦いでオティヌスは、
「主神の槍」を使って上条さんを完全に殺そうとします―――が、その攻撃が回避されましたッ!
驚愕するオティヌス…さらに数十億年分の戦いの積み重ねで、オティヌスの頭が悲鳴をあげましたね!
ダブルショック…なぜあの人間は神の攻撃を避けられる!?なんで私より遥かに地獄を味わっているアイツが発狂せず、
私の頭が限界を迎えているんだ!?わけがわからない!オティヌスちゃんはこんらんしている!

…長い時間を共に過ごしてきた上条さん&オティヌスですけど、どうやら2人の精神的ダメージは違っていたようですね。
簡単に説明するなら、上条さんの立場は「んんwww即死クソゲー楽しいですぞwww」という感じで、
オティヌスの立場は「また雑魚をプチプチ潰してレベルアップかぁ…」って感じだったんでしょう。
ワクワクしながらゲームをプレイするプレイヤーと、単純作業を繰り返すゲームマスター…どっちが楽しいのか明白です。
その結果、オティヌスと上条さんの「精神的摩耗」は、いつの間にかオティヌスの方が強まっていた、と…!

そしてクソゲーを数十億年も続けた上条さんは、ついに…オティヌスという少女を「理解」していたようですね。
何度も「死に覚え」をループしたおかげで、もうオティヌスの息遣い、臭い、思考パターン…全てを覚えた!
だからオティヌスの攻撃も避ける事ができる!アンチオティヌス決戦兵器の誕生だァー!
すげぇ…ホントすげぇよ上条さん…レベル6シフトとは正反対で、「プチプチ潰されてレベルアップ」とかね…。

というかレベル6シフトで思い出したけど、悩み中のオティヌスから上条さんが殺された回数…10031回って、
やっぱりミサカが殺された回数を意識してますよね…これはやっぱり、自分が救えなかった
10031人分のミサカの死を経験して、ミサカと…いや、総体ちゃんと同じ位置に立った、という事でいいのかな?
つまり今の上条さんは、魔術の神・オティヌスと、科学の神・総体ちゃんを「理解」したんでしょう。
まったく同時にダブル女神と精神的に同じステージに立つとかもうね…まさに今の上条さんこそ、
「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの」と言えるよ…神のメンタルすぎる…。
神に逆らった事を後悔するがいい!とかRPGのラスボスっぽいセリフを言い放つオティヌスちゃんに対して、
うんうん、分かってる分かってる、そんじゃ戦おっか?…って感じで全てを理解してる上条さんが微笑ましすぎるわ…。


244b0384bc559fe249d97789a4c86113_20140125185731ec7.jpg

そして上条さんは―――ついに、オティヌスが投げた「主神の槍」を右手で破壊しましたね!
オティヌスの手に戻らず、トネリコの木の破片をバラバラとまき散らしながら砕けていく「主神の槍」…ッ!
まぁそれとぶつかり合った上条さんの右手もタダでは済まなかったらしく、右手の指はボキボキに骨折していましたね。
でもやった!勝ったよ!無限の敗北の上で、ついに上条さんが勝ったよー!たとえ那由多の彼方でも俺には十分すぎる!

とりあえずアレだ、P277で右手の損壊や切断がトリガーになって「中の人」出てこようとするんですけど、
そのまま普通に流されて思わず吹きました。今回も出番ゼロなんかーい!
…ロシア編のVSフィアンマ戦でも「お前じゃねぇ座ってろ」と上条さんに言われて引っ込んでましたし、
新約4巻のラストでもオティヌスからプチュっと握り潰されてましたし、
P264でも「幻想殺しの隠された力が開花したなんて展開じゃない」とかメタ発言を食らってましたし、
本当に中の人は最近ちょっと扱いがヒドいだなぁ…鎌池先生は意地でも「幻想殺し」を覚醒させる気ないぜ…。

まぁそれはさておき、「主神の槍」も破壊しましたし、オティヌスは精神ダメージでビキビキ言ってます…勝利は目前です!
―――が、ここでオティヌスは…自分の「真の武器」である、「弩(クロスボウ)」を取り出しましたね!
そう…「デンマーク人の事績」のオティヌス(オーディン)は、グングニルやトールハンマーなど、
長ったらしい神の武器なんて使ったりしない…名も無き「愛用のクロスボウ」を使用する。
しかしそのクロスボウは、革袋から取り出した瞬間に展開し、10本の矢を一度に放つ事ができる!

そして上条さんの眼前で激昂している少女が使うクロスボウは、そんな物じゃありませんでした。
一見するとオティヌスは何もしていない…何も手に持っていない…それなのに何かが軋む音がするッ!
オティヌスのクロスボウが見えない…それなのにギギギ…と糸が力を蓄える音がする…軋む音がする…!

そこで上条さんは気づいてしまいましたね…軋んでいるのは「糸」ではなく「世界」だった、と…!
なんと、オティヌスが使っているクロスボウとは「世界そのもの」だったらしく、
世界のエネルギーを蓄えて、惑星すら余裕で貫通する「矢」を10本も放つ武器だったようですね!やべーぞ!

1本目!真上から垂直に落ちてくる矢!…上条さんは真横にジャンプしてギリギリで回避しますッ!
どうやらオティヌスのクロスボウは、あまりにもパワーが強すぎるらしく…日本刀で斬られた相手が数秒遅れて死ぬように、
矢で貫かれた地球は、爆発したり余波を出す事もなく…ただスコーンと穴をあけるだけのようですね。
そのおかげで上条さんは、「矢」という点攻撃を避けるだけで何とか生きているようです!
2本目!斜め上からの狙撃!…何とかその矢を回避した上条さんが後ろを振り返ると、
そこには…矢で地表が削られて、地平線の向こうまで続いている大きな「谷」が作られていました。
3本目&4本目!地球の裏側から発射された、地面から飛び出る矢!
まるで挟み撃ちのように上条さんに向かってくる矢…下手に動かず、ギリギリまで見極めて回避するッ!
5本目!真正面ストレートッ!…ここで初めて上条さんは、「幻想殺し」を使ってガードします!
しかし「主神の槍」の時のように拳を突き出したら、間違いなく右半身が消失するでしょう…それほど相殺不可能な矢です。
だから上条さんは、矢の軌道を変えるように、斜めに受け流します!だからこうして斜めに弾く!(寄生獣の後藤)
6本目&7本目!お互いの矢がぶつかり合って跳弾する矢!まさに予測不能な矢でしたが、
これまたギリギリまで矢の軌道を見ていた上条さんは、2本とも必死で回避します!
8本目!テレポートしてくる矢!…上条さんが背筋にチリっとした怖気を感じ、
後ろを振り返ると…そこには、空間を削って飛び出してくる8本目の「矢」がありましたね!これも回避!
9本目!もう本数なんて無視した数撃ちゃ当たるの豪雨!…天に向かって放たれた矢が、
無数の流星群になって上条さんに襲ってくる!…しかしこれも、ちゃんと見極めれば回避可能ォ!

10本の内、9本をクリアした…そして上条さんは、ついにオティヌスの目の前まで近づきましたね!
ここまで間合いを詰めれば、もう俺の方が有利だ…たとえどこから10本目が来ても、俺の拳の方が速いッ!
―――が、なんと…オティヌスの背後から、彼女ごと貫通するように10本目が来ましたァ!
げぇー!これアレじゃん!「鋼の錬金術師」でキング・ブラッドレイが致命傷を受けた攻撃法じゃん!(参照)
やっぱり「無敵の目」でも「前兆の感知」でも、第六感系のサーチ能力には「死角」だけではなく
「死角」+意表を突いた「意識外からの攻撃」が1番通用するんだなぁ。


5655455.jpg

その結果―――10本目をモロに食らった上条さんは、頭と右手だけになりましたね。
おおお…まさか上条さんが、フレ/ンダ、テッ/ラ、建│宮の仲間入りするなんて…そんなん考慮しとらんよ…。(上/条当麻)
普通なら即死です…だけど奇跡的に上条さんはまだ意識があり、ほんと少しだけ話せるようでしたね。

そして10本目の矢を食らって、空中を回っていた頭と右手だけの上条さんを、オティヌスは冷めた眼でキャッチします。
まだ意識がある上条さん…しかしその表情は、敗北して死ぬ寸前であるにも関わらず…やんわり笑顔でしたね。
まぁこの戦いは、上条さんの生まれて初めての「わがまま」ですからね…悔いなんて無いんでしょう。
…すると上条さんは、オーディンから薬草を塗られて首だけで生き返り、相談役になった賢者の神・ミーミルのように、
最後の願いでも、泣き言でも、恨み事でもなく…オティヌスの背中を優しく押すような言葉を残しましたね。

俺の右手を使って、お前の「生まれた世界」を取り戻してみろよ、と―――。

もう決めるのはお前しかいないんだ、それなら最後ぐらい、自分の1番やりたかった事を、好きにやっちゃえよ。
「最高の世界」を作る為に、自分の望みを最後にするなんて…そんなの俺みたいになっちまうぞ、と…。
そして上条さんは、優しく涙を拭うように、オティヌスの頬に触れ…そのまま絶命しましたね。

その後…正真正銘、世界で一人ぼっちになってしまったオティヌスは…上条さんの亡骸を眺めながら、
自分が魔神の力を使って「完璧な世界」を求めた理由を思い出していました。
そうだ…今まで私は、「自分が作った世界が納得できなかった」という理由で世界を作り変えてきたが、
それは「目的」ではなく「手段」だったんだ…「完璧な世界」を作った上で、私には目的があったんだ。

「ああ…『理解者』が欲しかったのか…私は…」

…どうやらオティヌスちゃんは、自分の心の傷を慰めてくれる「理解者」が欲しかったようですね。
世界を作る立場だからこそ、その世界の住民は私を理解してくれない…世界から阻害されている。
だからオティヌスちゃんは、「完璧な世界」を作ろうとしたり、製作者が自分ではない「最初の世界」を目指していた…。
しかし前を向いてドンドン進みすぎた結果、オティヌスちゃんは「理解者が欲しい」という目的を忘れてしまった、と…。

そしてオティヌスちゃんは、世界を元に戻せるキーである「幻想殺し」を片手に、何をすべきかを考えます。
自分が生まれた「最初の世界」…だけど今思い出せば、あの世界で「理解者」が見つかるか確信が持てない。
上条当麻が生まれた「上条当麻の世界」…この世界にも「理解者」がいるのか分からないが、上条当麻がいる。
どちらの世界へ戻すのか…オティヌスちゃんは「迷うまでもない」と言うように、「幻想殺し」を使いましたね。

1333212570987_20130506133414_20130609144644_201401260023327e0.jpg
ハッ!…そして上条さんがものすごくテンプレな起床ボイスと共に目を覚ますと、
なんとその場所は…いや、その世界は…新約8巻のラストステージ「船の墓場」でしたね!
インデックス、御坂美琴、レッサー、バードウェイが近くにいる…今にも魔神・オティヌスと戦おうとしている!
なんとオティヌスちゃんは、「幻想殺し」を使って…「上条さんの世界」を戻したようですね。
全てが新約8巻のラストまで巻き戻っている…いや、ひとつだけ巻き戻っていない物があります。
それは製作者であるオティヌス自身です…上条さんから壊された「主神の槍」は、彼女の手には存在しない…。

オティヌスが、全てを上条さんに譲ってくれた…その事実に軽くパニックになる上条さんでしたが、
時間は待ってくれません…なんと近くにいるヒロイン×4人が、完全に臨戦態勢に入っていました!
そりゃそうです…世界五分前仮説と言いますか、彼女達の頭の中は「船の墓場」に乗り込んで来たばかりですからね…。
上条さんとオティヌスが悠久の時を過ごして、たった今、世界が再構築されたなんて知っているワケがない…!

そして上条さんの心境を知らないまま、ヒロイン×4人はオティヌスを自慢の遠距離攻撃でフルボッコにしていきます。
その瞬間、上条さんは確信しましたね…オティヌスの中で何かが萌芽している。
オティヌスは世界を俺に譲ってくれた…そして「主神の槍」が無くても十分にガードできるはずなのに、
まるでわざと当たるように、4人の攻撃を避けなかった…彼女はもう、「正義」の2文字だけで断罪していい存在じゃない!
これじゃまるで、世界中の人間が俺の敵に回った世界…「Version_Alpha.」の立場が逆転しただけじゃないか、と…!

仲間の声を無視してオティヌスの元へ突っ走っていく上条さん…そこには、力無く笑っている1人の少女がいましたね。
…どうやらオティヌスは、この世界でゆるやかに自殺する気のようです…。
しかもオッレルスの「妖精化」を使って魔神化した副作用が遅れてやってきたらしく、
もう体の中はボロボロで…亀裂が入りまくり、上条さんの右手を使っても都合よく「人間」には戻れないようですね。
そろそろ多国籍連合軍によるご自慢のミサイルが飛んでくる…もうこの世界でオティヌスは、完全に"詰んでいる"。

なぁに、もう悔いは無い…私が生きていたら、世界中の人間が安心できないだろう。
もし生き残ってしまったら、たとえ私に戦う意思が無くても…『グレムリン』のような連中が集まってきて、
私をお飾りのボスとして担ぎ上げるに決まっている…だから私が死ぬのが、この世界にとって1番良いんだ、と…。

―――が、なんと…悠久の時を一緒に過ごしたオティヌスの理解者・上条当麻という少年は、
拳を握って…まるでオティヌスを守るように、仲間に…いや、「世界」に対して向き合いましたね!

だったら俺がお前を助けてやる。
世界の全てと戦ってでも!!!




■まとめ■

SWScan (6)

バードウェイ「お兄ちゃんどいて、そいつ殺せない!」

―――というワケで、大切な人が欲しかったツンデレ女神の「ツン」を
数十億年受け続けてやっとデレさせた1冊まるまる上条さん尽くし

原作禁書33冊目、「新約 とある魔術の禁書目録 9」…皆さんどうでしたか?
もうね、うん、「とある」10周年の最初の一冊に相応しい文句無しの神巻だったんですけど、
まさか上条さんが肉体的にも精神的にもフルボッコにされて、今までの30巻以上の積み重ねを感じさせられて、
「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの」…仙人レベルの精神になるとは思わなかったよォ!
もう上条さん凄いよ…この一冊だけで色んな意味で進化しちゃってるよ…名前を神上に改名しても文句無しだよ…。
そういやインテリ3巻もループ系の話でしたけど、鎌池先生あの時からアップしてたんだろうなぁ…。
新約1巻のあとがきで言っていた「セオリー無視でいきます」という言葉を見事に実現してるよ先生…!

というか新約8巻で上条さんって、やたら「あの右手は来るのか?」とか「槍の製造を邪魔できる右手が必要」とか、
まるで「上条さんの価値が右手しかない」ように言われてて引っかかってたんですけど、あれも伏線だったんだなぁ。
まさか数十億年の時を経て、右手は一切レベルアップせず、上条さんの方が超レベルアップとか…!
いやまぁ、上条さん自身は「VSオティヌスだけに特化した」「普通の魔術師には負ける」と言ってましたけど、
無限地獄で仲間と争う事もあったでしょうからね…なにもレベルアップしていないワケがないですよ。
現にオティヌスの「弩」だって、初見であるにも関わらず9本まで受け流してますし…バケモンすぎる…。

とまぁそれはさておき…この新約9巻は「中巻」らしんですけど、「下巻」の10巻はどうなるんでしょうね?
うーむ、他の仲間から見たら、上条さんが洗脳されたと思いますよね…いきなりの裏切りだもん…マジびっくりだわ…。
まぁ滝壺の治療をする為に奔走していたロシア編の浜ちゃんみたく、体が限界のオティヌスを背負って逃げつつ、
道中の仲間を説得していく~って感じになるんでしょうけど、(少なくとも全世界のミサカは味方よね)
やっぱりアレですよ!鎌池先生が言っているように、仲間とのボスラッシュが楽しみすぎるわ!
ホントに楽しみすぎる…今の上条さんに攻撃をクリーンヒットさせられる人間なんて一桁レベルだろ…。
たとえアックアさんが音速でアスカロン振り回しても、上条さんヒョイッと避けると思うわ…。
まぁでも、あくまで上条さんの肉体は「普通の高校生」なので、頑丈な聖人相手だと厳しいでしょうけどね。

そしてアレだ、この巻だけでオティヌスちゃんがヒロインレースぶっちぎりトップに踊り出たなぁ…。
数十億年も一緒に過ごしてお互い分かり合うとかね…上条さんの頭の中99%以上はオティヌスちゃんだろ…。
あとがきでも「金髪碧眼女神の渾身のデレ」とか言ってますし…早くヴァル婚の2巻出してよォ!
まぁこれはヒロインのオティヌスちゃんが凄いと言うより、上条さんの方が凄すぎるんですけどね。
オティヌスちゃん「じゃあ、わたしと一緒に地獄の底までついてきてくれる?」→無限地獄クリアとか、
そりゃオティヌスちゃんも下半身ガクガクですわ…この子の頭の中も上条さんでいっぱいだよね…。

そしてそんなオティヌスちゃんの為に、世界に反逆する上条さんが本当にブレなくて安心しました。
この人は本当にブレないなぁ…そうだよ!たった1人の女の子の為に立ち上がるのが上条さんなんだよ!
しかもその理由も、「インデックス達の善意を、不要な流血で無駄にしない」って感じですし…。
まぁ最後の見開き挿絵の上条さんの顔がちょっと怖くてビクッとしたんですけど、
新約に入ってから、やたら他人に流されて行動してた上条さんが久々に自分の意思だけで拳を握って私は満足です。


ssdd_201401260307591c0.jpg

ああ、それと新約8巻の表紙の「8」の裏に「6」の数字があって不思議に思っていたんですけど、
今回の新約9巻の表紙って…これまた「6」を上下逆回転させた「9」になっているんですよね。
そして新約8巻、新約9巻、新約10巻は上巻・中巻・下巻という構成になっているので、このパターンだと
新約10巻の表紙にも「6」の数字が隠されていて、「666」の数字が完成するワケなのです。
…うん、もう分かった人もいるでしょうけど、この「666」という3連続の数字は、
アレイスター=クロウリーが作った獣を意味する数字なんですよね。(セレマ)
つまり遊戯王のウィジャ版みたく、アレイスターの数字がどんどん表紙の中で完成している、と…。

やべぇよ…オティヌスちゃんのスケールが大きすぎてアレイスターさんマジ小物wwwとか言ってたのに、
こいつ着々と準備してるよ…それにアレだ、P185で総体ちゃんが言ってましたけど、
生きているけど死んでいる「シュレディンガーの猫」は、オティヌスちゃんの世界改変から逃れられるんですよね。
そしてロシア編のラストを読む限り、アレイスターの存在は「シュレディンガーの猫」と酷似しているので、
アレイスターも世界改変から逃れている可能性が激高なのですよ…。
他にもP135でもオティヌスちゃんが、アレイスターは位相を消した「まっさらな世界」を弄くろうとしている~とか
言ってましたし、こりゃー新約10巻で久々にアレイスター登場あるで…オティヌスちゃん殺されたらキレるわ…。
最後の「さぁ戦え」って文章も、なんとなくアレイスターが書いた「法の書」の一文っぽいんだよなぁ…。

また、話は変わりますけど、、もう1本残っている「主神の槍」も気になりますよね。(マリアン作の方)
新約8巻のラストでは、失敗した~とか言われてましたけど、なぜかカラーイラストの説明文では
完成した~とか言われてますし…ミスなのか伏線なのか…もっかい世界改変とかするのかなぁ…。
もしかすると、はいむら先生のサイトが今回更新されなかったのも、ここらへんのネタバレ防止なのかもしれません。
だって2種類の「主神の槍」の設定画をアップしちゃったら、もう片方も使うよ~って言ってるようなモンですからね…。

とまぁこんな感じで、長くなりましたが…そろそろ筆を置かせて頂きます。
鎌池和馬先生、はいむらきよたか先生、担当様、この作品に関わった皆様、素晴らしい本をありがとうございました!
ホント、今回はイラストが神がかってましたね…今までで1番良かったかもしれないですよ…。
折りたたんであるインデックスちゃんのイラストを開く→上条さんがベンチに座ってる絵が出ててくるとか…もうね…。
イラストに登場している上条さんの「右手」が、話が進むに連れてどんどん握られていくのも良かったですわ…。

また、この新約9巻は「上条さんのどこが不幸なんだよwww」「高校生が説教www」とか言ってる人に対して、
思いっきり鎌池先生がカウンターをぶつける巻でもあったと思いますね。
もう上条さんの「不幸だ」というセリフだけで私は号泣できる自信がありますし、(ぇー)
上条さんの言葉の重みも今回でとんでもない事になったと思います。仙人の言葉だからね…。

奇しくも「Version_Omega.」と同じような「1人の少女の死によって作られた世界」を実現させない為に、
オティヌスを守ると決めた上条さん…世界に拳を向けた彼は、果たして元の居場所に戻れるのか。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

ではまたー!面白かったら上条さんが地獄を体験する感じで拍手してくれると嬉しいです!

« 雑談コーナー 2014年1月27日  |  とある日常のいんでっくすさん とある日常.10 »

コメント

てすと

学園都市の名無しさん |URL | 2016/08/29 20:34 * edit *

唐突なプラシドで草

学園都市の名無しさん |URL | 2016/08/29 21:41 * edit *

あれ?
コメントが全消しされてる?

学園都市の名無しさん |URL | 2016/08/29 22:56 * edit *

あれ?久々に読み返してみたけどコメント無くなってる?

学園都市の名無しさん |URL | 2017/05/27 16:03 * edit *
コメントの投稿
Secret

トラックバック
トラックバックURL
→http://kodoku21.blog83.fc2.com/tb.php/3740-9dc1b078
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)